「なんとなく興味はあるけど、どんな仕事か分からない」
「ホストクラブみたいなものかなぁ？」
世間一般の男性が、出張ホストに抱くイメージとは、おおむねこんなところでしょう。
新しいサービスであり、まだまだ認知されていないところがあるうえ、店舗型のホストクラブと混同されているところも多くあります。
今回は、出張ホストの仕事がどんなものなのか、あらためてご紹介したいと思います。
◆出張ホストの仕事内容のおさらいです
ホスト役の男性が、女性客を相手にデートなどの接待をする仕事です。お金をいただいて女性客の恋人を演じ、恋人気分やロマンティックな雰囲気を味わってもらうサービスです。いわば「擬似恋愛」（ぎじれんあい）の提供といってもいいでしょう。
その点ではホストクラブとの共通点もあります。しかし店舗型のホストクラブと違い、女性を「お店」に連れてくるわけではありません。女性と出会うその街こそが、あなたと女性のステージなのです。
このサービスが生まれたころは、性的サービス（性感マッサージ・ヘルスなど）を提供するお店が多くありました。最近ではデート専門のお店が増えてきているのが現状です。
デートでは、食事やドライヴ、カラオケや映画鑑賞、あるいは遊園地や水族館などのアミューズメントなど、女性のニーズに従ってあらゆるところで時間をすごします。女性の気分を盛り上げ、満足させるためのトークや振る舞いが必要です。デートコースの選択肢がたくさんある分、女性のニーズを的確にとらえることが必要です。
ということで、まずは論より証拠。実際に出張ホストで働いた、体験者の声を聞いて見ましょう。
◆体験談「天文マニアのお客様」（東京都・２１歳）
「なにも分からないまま、出張ホストの求人に応募しました。不安はあったけど、まあ女の子とデートするだけなら、どうにかなるだろうって。登録もすぐにできて、数時間後にはサイトに写真とプロフィールが乗っていて、その週のうちに指名が来ました。『なんだ、この仕事、カンタンだな』って、その時は思ったんです」
「最初のお客さんは、ちょっとつかみどころのない人だったんですね。ちょうどお昼時に待ち合わせたんで、『先に食事にしますか？』って提案してみたんです。そしたらコンビニのアメリカンドッグでいいって言うんですよ。すぐそこのローソンで、彼女がアメリカンドッグ２本買ってくれて……コンビニの駐車場で、ふたりで立ちながら食べました。なんか調子狂うなって感じでしたね。
次に彼女、プラネタリウムに行きたいって言うから、電車を乗り継いで向かったんですけど、その間ほとんどしゃべらないんですよね。で、プラネタリウムに入って、しばらくふたりでだまって天井の星空を見上げてました」
「あまりに会話がないのもマズイので、『綺麗ですね』って言ったら、彼女がはじめてまともに反応したんですよ。
『あの星が好きなの？』『あの星はアンタレスっていって、さそり座の星』
この会話をきっかけに、彼女が小声で星座の解説を始めてくれたんです。あれはてんびん座、こっちはいて座……とかって。
プラネタリウムを出た後、こんどはちゃんと食事しました。打ち解けたら、ちゃんとしゃべってくれる女性だったんで、ホッとしましたよ。彼女は天文以外に興味を持てることがなにもなくて、なかなか話し相手がいなかったようなんです。
出張ホストって、求められてるものはお客さんそれぞれで……ただ自分の話をちゃんと聞いてほしいって人もいるんです。『ホスト』っていうから、ホストクラブみたいな仕事をイメージしてましたけど、ずいぶん違いますね。とにかく、その日に会うお客さんがなにを求めてるのか、そのつど考える事は必要だと思います」
◆解 説◆
まさに彼が話してくれたことこそ、出張ホストのお仕事のツボです。
お客様それぞれ、多様なニーズをお持ちなので、それを的確にとらえてのサービスが求められます。
出張ホストはただデートコースを歩くだけではない、奥の深い仕事なのです。だからこそ味わえる、仕事の楽しさもあるのです。
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